【バランスのとれた収益性!】ニチアス(5393)の銘柄分析【高配当】

資産運用

こんにちは、ろこもこです!

高配当株投資をするにあたってこんな悩みをもつことないですか?

・この銘柄って高配当投資としてどうなの?ほかの人の意見も聞きたい
・銘柄分析ってどの項目をチェックすればいいの?
・そもそも銘柄分析って難しそう、面倒くさそう、時間がかかりそう…
・過去の配当利回りを参考に購入タイミングを検討したい

わたしも高配当株投資をはじめた時は同じ悩みをもっていました

このような悩みを放っておいたまま投資するのはとても危険!

なぜなら、適正価格がわからないので高値で買った直後に株価が下がり続けてしまう、
業績が良いのに暴落に巻き込まれて不安になり安値で売ってしまう可能性があるからです

大事なお金を投資するのだからそんな風にはなりたくないですよね?
(配当を出さなくなるなど、想定していたシナリオが崩れたときは損切しなければいけません)

そこで今回はニチアス【5393】について調べましたので、悩み解決の参考にしていただければと思います

この記事を読むことで

・ニチアスの分析結果にふかみが増し、投資判断に自信がつく
・チェックすべき項目がわかり、自分でも優良銘柄をさがせるようになる
・銘柄分析の時間を30分以上へらし、空いた時間をすきなことに使える
・利回りの推移がわかり、株価が高いとき(利回りが低いとき)の投資をさけられる
※本文の表、グラフはクリックすることで拡大できます
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ニチアスの銘柄分析結果

結論からだしてしまうと、下記表の項目を分析した結果、
「景気敏感銘柄ではあるものの、業績は比較的安定している 配当利回り3.8越えを目安に購入を検討したい!と判断しました

その理由を会社概要と銘柄分析の詳細をもとに説明します

ニチアスってどんな会社?

ニチアスの主なビジネスは下記の5つです

プラント向け工事、販売事業
プラント向け工事・販売事業
・電力、LNG、石油精製、石油化学などのプラント設備を対象に、シール材、耐食材などの製品を取り扱う
・シール材、耐食材などの、開発、設計、施工、メンテナンスサービスを提供
・総売上高に占める割合は約27%(2023/3期)

工業製品事業
機能樹脂製品事業
・ガスケット、パッキン、フッ素樹脂製品、フィルター製品、工業用ロックウールなどを展開
・装置機器、環境、食品、医療、石油精製、電力、鉄鋼など幅広い分野に製品を提供
・総売上高に占める割合は約22%(2023/3期)

<ガスケットとは?>
ガスケットは、動かない場所に使用される「固定用のシール材」を指します
使用例:ボルトでつながった配管と配管のつなぎ目のシールに使用される

高機能製品事業
高機能製品事業
・薬液移送用のフッ素チューブやOリング、無機断熱材を提供
・エレクトロニクス関連産業のなかでも半導体、フラットパネルディスプレイ(FPD)製造プロセスで使用される
・総売上高に占める割合は約19%(2023/3期)

<フラットパネルディスプレイ(FPD)とは?>
筐体が板状で、画面が平面になっているディスプレイのこと
1990年代は画面が曲面のブラウン管が主流だったので、区別するためにFPDという用語ができた
2010年代以降は薄型、平面型が主流のためFPDという用語はほとんど使われなくなった

自動車部品事業
自動車部品事業
・エンジンから気体や液体が漏れるのを防ぐシール材(シリンダーガスケット)や、防熱、防音、振動を抑える製品や技術を提供
・総売上高に占める割合は約20%(2023/3期)

建材事業
建材事業
・不燃、断熱、耐火機能をそなえた建材を提供し、その建材を活用した施工事業も展開
・オフィスビルや受託、工場、研究施設など向け
・総売上高に占める割合は約12%(2023/3期)

以上のように、5つの事業を展開していますが、
すべての事業の売上高比率が10%以上~30%以下となっていて
バランスがとれた経営をしています

決算月、配当権利確定月、配当支払い月はいつ?

それぞれ以下のように決められています

決算月:3月

配当権利確定月:中間配当と期末配当の年2回あり、中間配当は9月、期末配当は3月

配当支払い月:中間配当は12月、期末配当は6月

ニチアス 銘柄分析の詳細

わたしが銘柄分析のときに注目する項目は、「収益性」「財務の安全性・将来性」「配当性」の3つ

これらを総合的にみて投資対象として適切かを判断しています

それぞれの項目は、さらに2~3個の要素に分けられるので、ひとつずつ確認していきましょう

売上高(収益性)

「売上高」は企業が利益を計算するための源泉となる数値であり、増加傾向にあるかを確認します

2008年からの推移は下記グラフのとおり

ニチアスの売上高グラフ

ゆるやかですが、右肩上がりに売上高をのばせています

特に2023年は過去最高の売上高
半導体製造装置向け製品の需要が高まったことが要因です

営業利益率(収益性)

目安として、継続的に10%を超えているかを確認します

2010年からの推移は下記グラフのとおり

<営業利益率とは?>
営業利益率(%)=営業利益(円) ÷ 売上高(円) で算出でき、本業で稼ぐ力を表します

ニチアスの営業利益率グラフ

2010年代前半は低かったものの、2017年以降は10%を超える水準で推移

同業他社と比べてもヒケをとらない営業利益率なので、このままの水準を維持してほしいですね

営業利益率が高くなってきた要因は、以下の2点が考えられます
・売上高に対する原価の割合が改善したこと(2010年代半ば:78%前後⇒2023年:約76%)
・売上高に対する販売費、一般管理費の割合が改善したこと
(2010年代半ば:14%前後⇒2023年:約12%)

より効率的な経営を今後も継続してほしいですね

EPS(収益性)

増加傾向にあるかを確認します

2010年からの推移は下記グラフのとおり

<EPSとは?>
EPS(円)=当期純利益(円) ÷ 発行済株式総数(株) で算出
一株当たりいくらの利益を出しているかを表し、配当金の原資になる重要な指標です
あの有名な投資家ウォーレンバフェットも重要視する指標のひとつ

ニチアスのEPSグラフ

きれいな右肩上がりではありませんが、5年くらいのスパンで大きな成長をしています

手がける事業は幅広くバランスがよいため、今後もこのようなトレンドが続くのではと考えています

自己資本比率(財務の安全性・将来性)

目安として、50%以上の水準を維持できているかを確認します

2008年からの推移は下記グラフのとおり

<自己資本比率とは?>
自己資本比率(%)=自己資本 (円) ÷ 総資本(他人資本+自己資本) (円) ×100 で算出

自己資本比率が高いということは「返済しなければいけない借金が少ない」と解釈でき、安定した経営を行っていると判断できます
ニチアスの自己資本比率グラフ

収益がのびるのに比例して自己資本比率ものびています
比較的安全な水準まで到達したので、
これからは利益を社員や株主への還元につかってほしいですね

2023年時点で短期借入金はありますが、いつでも返済できるような額なので問題なさそう

営業CF(財務の安全性・将来性)

営業CF(キャッシュフロー)は常にプラスを維持できているかを確認します

2008年からの推移は下記グラフのとおり

<営業CF(キャッシュフロー)とは?>
商品や材料を仕入れて製品やサービスを販売することで得た現金収支をあらわしたもの
つまり、本業でどれだけ現金の移動があったかをあらわします

プラスの場合は借入金の返済にあてたり、事業への投資、株主への利益還元をする余裕があり、将来性があると判断できます
マイナスが一時的なものであれば問題はありませんが、数年続くと事業を継続できなくなる危険性があります

ニチアスの営業CFグラフ

2009年はリーマンショックの影響があってマイナスに
2017年以降は過去と比べて、非常に高い水準で安定した営業CF

現時点では特に心配する点はなさそうです

フリーCF(財務の安全性・将来性)

フリーCF(キャッシュフロー)はプラスを維持できているかを確認します
(厳密にはその内訳が重要ですが、マイナス続きになっていないことは重要です)

2008年からの推移は下記グラフのとおり

<フリーCF(キャッシュフロー)とは?>
フリーCF(円)=営業CF(円) + 投資CF(円) で算出

投資CFは設備などに投資した場合にマイナスになります

マイナス分を営業CFから差し引いても手元資金がプラスであることは財務が安定、事業の将来性があると判断できます

ただし借入金の返済などのために設備を売却した場合は、投資CFがプラスになります

それによりフリーCFがプラスになっている場合は事業を縮小していると考えられるので、しっかりと内訳を確認することが大切です

ニチアスのFCFグラフ

営業CFのグラフと見比べると、2018、19年がガクッと下がっています

2017年から2021年までの間に550億円の設備投資をおこなうことを発表していて、
新工場の建設費などに使用されたためです

一株当たり配当金成長性(配当性)

一株当たりの配当金が増配(もしくは現状維持)の傾向であるかを確認します

2010年からの推移は下記グラフのとおり

<一株当たりの配当金とは?>
その名のとおり、一株保有してるといくら配当金が支払われるかをあらわしたもの
のちに紹介する配当性向や配当利回りの計算にも使われます

ニチアスの一株配当グラフ

2010年以降、一度も減配がない理想的な配当推移

2022/11/7には累進配当(減配をしないこと)をかかげているので、
今後もこのながれが続くことに期待したいですね

配当性向(配当性)

配当性向が40%以上~60%以下であるかを確認します
(特に、60%越えが頻出していないかが重要です)

2008年からの推移は下記グラフのとおり

<配当性向とは?>
配当性向(%)=1株当たりの配当額(円) ÷ EPS(一株当たりの当期純利益) (円) × 100で算出

配当性向が高いことは利益を株主へ還元することに積極的であると判断できます
ただし、高すぎると事業の運営に悪影響がでてくるので注意
逆に低すぎると、事業で稼げていないから配当をだす余裕がない、なにかあった時のための貯金を増やしている、株主に利益を還元する意欲が低いなどが考えられます

ニチアスの配当性向グラフ

※EPSがマイナスの年度は配当性向を算出できないため「0%」としています

ほとんどが25%前後~50%までの間に落ち着いていますね

財務状況を考慮しても、まだまだ配当余力があります
最低限はこれくらいの水準を維持してくれるでしょう

配当利回り(配当性)

過去の配当利回りの最小、平均、最大からどれくらいの利回りが適正なのかを確認します
(特に最大と平均の水準がポイントです)

2010年からの推移は下記グラフのとおり

<配当利回りとは?>
配当利回り(%)=1株当たりの配当額(円) ÷ 株価(円) ×100 で算出
株価が安くなるもしくは、1株当たりの配当額が増えるほど利回りは高くなります

ニチアスの配当利回りグラフ

平均2.66%、最大3.8%
つねに高配当というわけではないですが、ちょくちょく購入チャンスがある印象です

景気敏感銘柄なので買いすぎには注意ですが、
配当利回りが3.8%を超えるタイミングでコツコツ買っていきたいですね

株価推移(2023年7月 時点)

2004年からの株価推移は下記のとおり

ニチアスの株価チャート
※TradingView提供のチャートです

この記事をはじめて投稿した2022年11月の株価は2418円
記事を更新した2023/7/16の株価は2841円

長い目でみると上昇トレンド
しかし、3000円代をなかなか超えられない状況がつづいています
ふたたび2000円代前半までもどってしまうのか、注目ですね

最新の株価は下記リンクからどうぞ
5393 ニチアス 株価 Googleファイナンス

ニチアス特有の投資リスク

・「高機能製品事業」でつかわれる材料が今後、PFAS規制に該当する可能性がある点

<PFAS規制とは?>
PFASは有機フッ素化合物の総称
耐熱性や科学的安定性、耐薬品性などの特性があり、
さまざまな業界、用途で使用されるPFASは
残留性の高さが人の健康、環境に対して危険性があることから
EUにおいてPFASを一定以上の濃度含有する混合物、成型品の使用を
禁止する案がでている
詳しくは下記リンク先からどうぞ
日本経団連 EUにおける化学物質規制の動向

ニチアスの将来性

とりあつかっている製品が、
石油精製・石油化学、化学、鉄鋼、電力・ガス、自動車、半導体、建設など
幅広い産業分野にわたっているので良くも悪くも安定した業績がつづきそう

業績の急成長はむずかしいかもしれませんが、長期的な目線での投資をかんがえるのであれば、
検討する価値がおおいにあるとおもいます

まとめ

ニチアス【5393】の銘柄分析、あらためて冒頭の表を見直すと以下のとおり

ニチアスの投資判断

景気敏感銘柄ながらも事業のバランスがいいためか、安定した業績をあげているニチアス
利回りが3.8%を超えるタイミングから購入を検討したいですね

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この記事を読んで、じぶんでも銘柄分析をできるようになりたい!でも、何から勉強したらいいか分からない…というかたにオススメの本を2冊紹介します

どちらもよく似た構成なので特徴を一つにまとめると

・図やイラストが豊富で読み進めやすく、途中で飽きにくい
・決算書の要点にしぼって解説しているから、短時間でしっかりまなべる
・誰もが知っている企業を例に解説しているから、イメージがつきやすい
わたしのように、2冊とも買っていろんな意見を取り入れるのも一つですが、
一冊だけ選ぶのであれば、企業を例にした解説がより詳細な
「100分でわかる!決算書「分析」超入門」が個人的にはオススメです
最後まで読んでいただき、ありがとうございます

この記事があなたの投資に役立てばうれしいです

それではまた!